WWBジャパンによる田舎で働きたいのミッション of 田舎で働きたい

○研修生支援のポイントは、自立と第6次産業

 WWBジャパンの「田舎で働きたい」は、農を軸とした第6次産業化をプロデュースすることを通じて研修生の自立を応援しています。同時に、田舎コミュニティの中での仲間との協力を生み出す新たな応援団づくりや、田舎同士が垣根を越えてつながり、新たな価値を作る応援もします。これらを通じ、日本の第6次産業化(第1次産業である農業に、第2次産業(加工)、第3次産業(流通・小売)を加え、付加価値の高い産業にしようとする農の新しい形態)に向けたモデルと、ネットワークをつくりたいと考えています。

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○田舎で働くことは、自立すること。そのための職業訓練の場

 WWBジャパンは、田舎で働きたい人の興味から実習を組み立てます。今ある全国各地の仕事だけでも、本格的に収穫時期となるブルーベリーや、日本全国探しても例を見ないという有機の苗の契約栽培現場、地域の竹の繁茂を食い止めるための竹炭加工や、菓子製造業に基づく地元産の商品試作、自分では高齢化して出荷もできないお年寄りの時に捨てられている“もったいない野菜”を“もったいない”運送で運び、「田舎会社東京支店」で島根の野菜を直売する東京の若者との流通のしくみの構築、直売所をITネットワークでつなぐ仕掛けづくり、旅館の社会貢献コースとしての新たな環境ツアー、太陽光を使った苗栽培を通じたエネルギー分野などがあります。農を軸とした第6次産業では、これだけのメニューがそろうのです。
 現金収入が少なく、雇用もどんどん縮小する中で、農を軸として田舎で働く覚悟を決めた人には、「自立していくこと」を目指してもらうことが、もっとも田舎の働き方のモデルとなります。自然への観察力が必要な農業、コミュニケーション能力を必要とするレストラン、工夫の加工業…多様な個性を育む農の第6次産業化フィールドで、研修をし、最後は、自立していくようフォローアップしていきます。


○なぜ、第6次産業に注目しているの?

 生産現場と、食品加工、直売、レストランや旅館、IT、観光、エネルギー事業をつなげ、さまざまな仕事を生み出す「農を軸とした第6次産業」には、更にいくつかの偉大な社会的効果があります。
 ひとつ目は、経済性では働けない人の、働く受け皿になること。「農」が持つ、自然の中で土や木に触れながら仕事をする、いわば「癒し」を中心にした働き方が、働くことから遠ざかっている人を受け入れ、時には社会復帰訓練もできます。多様な仕事を生み、多様な人材を雇用し、多くの人々を救えるチャンスが農にはあるのです。
 二つ目は、地域の問題解決の拠点になっていくこと。「食」は生活する上で不可欠な要素のため、問題意識が地域・環境・コミュニティといった身の回りの生活全般に目が向けられることが多いのです。そこにミッション性が高い人々が集まり、行動する力に広がり、問題解決を可能にするのです。
 三つ目は、都市と田舎をつなぐ共通テーマであること。地方の現状を何とかしたいと考える都市住民も多く、その心を田舎につなぐ仕掛けが必要です。敷居が高かった農が生活全般を循環させる第6次産業化によって、都市部の住民からも田舎が身近なものであると見直されます。
 また、自給率の低さからも、農を軸にした社会を作り、その担い手を増やすことが、今、日本に、田舎に求められていると考えています。


○そして、ソーシャルファーム

 WWBジャパンは、上記に挙げた第6次産業の効果を生かせる場所を総合的に地域で作るため、ソーシャルファームを田舎に作り始めています。
 欧米では様々なソーシャルファーム(Social Firm)が生まれています。コミュニティの中にあり、指導員が作業を教えるという上下関係ではなく協力し合って働く場所です。
 日本の農の役割として注目したいのが、ホームレスや引きこもり、障がい者、高齢者など社会的弱者と呼ばれる方たちの社会参加の場の提供です。これまでのような効率優先で画一的な働き方には馴染まなくても、働き手の多様性が求められる農を軸とした第6次産業では受け入れを可能にします。自分が出来ることを持ち寄り、自分らしく働ける場所を、私たちは農分野と絡ませることが必須と考え、Social Farmを実践して行きたいと考えています。


○ソーシャルファームとは?

 1970年代に北イタリアから始まったソーシャルファーム。直訳は社会的(social)な商店・会社(firm)、社会的企業です。社会復帰した精神患者に職がなく地域で差別されたことがきっかけで問題提起され、精神病院解体運動が起こりました。いわゆる社会的弱者と呼ばれる人を特別視しない、コミュニティの中で当たり前に働き、暮らせるようにする仕組みです。イタリアでは「社会的協同組合」の法律も制定され、欧州各地に広がっています。
 私たちのソーシャルファームが、欧米のと違うところは、ファームをfarm(農場)ととらえている点です。農を軸とする社会的企業や取り組みを増やします。「農分野・田舎・自然」が持つ受け皿としての可能性の広さに着目し、人々が個性を活かし、協力し合って働く社会の実現を、実践を通じて目指します。ソーシャルファームで活動する人には、農作業は必須項目として取り入れていますが、自然の力とのコミュニケーションで、永年引きこもりで元気がなかった人が自然の中で元気を取り戻したり、社会的弱者といわれる人々が農業を通じてならコミュニケーションできるようになったりすることが起こります。生産から販売・レストランまでという幅広いフィールドが、彼らの再生の受け皿になっています。


○具体的にはどんな事例?

 ニートであった研修生が北海道南幌町で大豆を作り社会復帰。冬の間は、地域の農家と提携して、商品開発。地域の麹と大豆をセットに、「味噌作りセット」を販売することが出来ました。これは、北海道内にとどまらず、他の地域とも連携し、7地域の麹で作る「全国手前味噌作りセット」の大豆として販売されています。
 木更津市の田舎で、障害を持つ研修生が農業を始めた例もあります。自分たちで作ったハーブを活用した手作り石鹸の開発も進めていますが、独りよがりの製品にするのではなく、お客様が欲しいと思うもの、市場が求めているものにアンテナを張り、商品開発を行っています。自分たちの製品に自信を持って正当な価格で販売が出来るものを目指しているのです。
 このように、様々な職業の中でも特異な分野と見られていた農業ですが、第6次産業にすることで間口が広くなり、様々なバックグラウンドを持つ人たちが参加できる現場になります。


○最後に

 「第6次産業」は、農業の付加価値化というだけでなく、戦後、都市化・効率化の中で、人々をスポイルしてしまった成長路線を修正し、自然との共生で心を癒し、社会的に接点をもてなくなった人の痛む心を再生していく、幅広い自然の治癒力を与えてくれるフィールドであり、手法だと考えます。第六次産業の人材育成モデルも全国へ広がっていくのではと夢は膨らみます。日本の再生が、経済の再生で語られている現在の日本社会に、もっと広い文化的・人間的価値からの再生を田舎から示していきたいです。


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